世田谷線の唄
先日、文化座 http://bunkaza.com/ 公演の劇『笑う招き猫』を観たら素晴らしかったので、原作(小説 http://takapan.nobody.jp/hon/h_manekineko.html http://webdokusho.com/shinkan/0402/t_4.htm など)を読んでみた。小説『笑う招き猫』は、構成がとてもしっかりしていて、テーマやモチーフ、ストーリーも見事で、とてもいい作品だった。
女性の漫才コンビ、アカコとヒトミ、そして周りの人たちが、活き活きと現代を生きていて、読後感も爽やかないい小説である(作・山本幸久)。(あえて難をいうと、主人公・ヒトミ が あちこち自転車で動き回るので(その描写がまた、素晴らしい!)、東京の地理に詳しくない人には、その部分の魅力が?だろう)
とりわけ「世田谷線の唄」には、読んでいて泣いてしまったのでご紹介したい。
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♪世田谷線はね
ほんとは新幹線になりたいの
どこか遠くへ行きたいの
東北東海北陸山陽
そういうとこを走ってみたいの
富士山も見てみたいの
でも今日もシモタカとサンチャ
行ったり来たり♪
♪世田谷線はね
せめて山手線になりたいの
都心をぐるぐる廻りたいの
新宿原宿池袋有楽町
そういうとこを走ってみたいの
丸ビルも見てみたいの
でも今日もシモタカとサンチャ
行ったり来たり♪
♪世田谷線はね
だけど世田谷線でしかないの
遠くも都心も走れないの
上町山下若林西太子堂
おんなじところ走っていたいの
おなじ町見ていたいの
でね今日もシモタカとサンチャ
行ったり来たり
でね今日もシモタカとサンチャ
行ったり来たり♪
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文化座の劇『笑う招き猫』は、原作の持ち味を尊重して、小説で登場人物・アカコの唄う「でたらめな唄」は、そのままアカペラで舞台化されていた。(それと、上演時間の都合からか、アカコの唄う「でたらめな唄」の数々は(たしか)すべてが紹介される訳ではない)
文化座の劇『笑う招き猫』(脚本:鳥海二郎/構成・演出:原田一樹)も素晴らしかったのだけれど、『笑う招き猫』はミュージカルにして、アカコの唄う「でたらめな唄」の数々に、リチャード・ロジャース風の節をつけて、大劇場で公演しても良いような気はする。
ともあれ、文化座と山本幸久さん、そして、アカコとヒトミ、ありがとう!